ロイヤル・コンチェルトヘボウ/アムステルダム DAY1

Royal Concertgebouw Orchestra Amsterdam

http://www.concertgebouworkest.nl/en/



「ヨーロッパの一流オケを聴く!」と意気込んで到着した、最初の都市アムス。

ここに来れたという感動、ヨーロッパの空気の中で音を聞けること、歴史のあるホール、

いろいろな感動が混ざり合った特別な感情とともに、コンチェルトヘボウに足を踏み入れました。



24 Jan 2013

指揮:M・ヤンソンス
曲目:チャイコフスキーsym.5 他


弦楽器の音の好感度がハンパじゃない!

ホームページでは、彼らの弦はベルベットに例えられていたけど、今回のチャイ5では、

1楽章にやわらかい春の風や、4楽章にさわやかな初夏の風みたいな音が聴こえてきた。

なんというか、風なんです、風!それも、ときどき感触がわかるような。

ベルリンフィルウィーンフィルよりヘボウ、という人は、この風にノックアウトされたのかな。

と言いつつ、ベルリンフィルウィーンフィルを聞いていないので、

この段階ではそれが正しいのかわからないけど。



クラリネットが活躍するチャイ5ですが、今回のソリストはちょっと空回り気味でした。

でも、すごくステキなフレーズを作っていましたが。

オーケストラのソリストの難しさって、自分だけが上手くできればいいというわけじゃなく、

他のソリストや弦楽器さんたちといかにいい音楽を一緒に作れるか。

そのために、いかに心をひとつにできるか。

そこが「いい演奏」と「上手い演奏」の違いかなと。(当たり前のことで、すみません)



あと、しょっぱなからすごい残念なことも。

チャイ5の出だしって、めっちゃちっちゃいクラリネットの音で始まるのですが、

その瞬間にお客さんが咳をしたんです。

で、音が聞こえなかったんだよ〜。ありえん。

(音楽家が出す、一音一音はとても大事なものだと、個人的に思ってるので。。。)

その人だけじゃなく、演奏中みんな咳しまくるし(万国共通でクラシックの客はお年を召した方が多いため)、

モノを落とす人とか、紙袋の音とか、演奏中トイレに行くおばぁちゃんとか、

とにかく落ち着かないのです。

お客さんが演奏に集中し始めたのは、3楽章の最後らへん。

これでは演奏者が集中できないし、いい演奏をする(聴く)ために、

お客さんもある程度協力する必要があるよな、と思ったり。



でも、ここまで考えて、自分が逆に神経質になってるのかなと。

批評家的な聴き方なら、多少の音楽のズレも耳につくけど、

逆にいうと、多少のノイズも気にせず、演奏がズレたとしても、

のびのびと演奏できているということなのかもしれない。

どちらにしても、この日の演奏のできは演奏したアーティストたちが一番よくわかっているのだと思う。



余談ですが、、、

「演奏のでき」と書きましたが、言い換えると「演奏の満足度」でもあります。

奏者にとっての「満足」とお客さんにとっての「満足」。

これは、必ずしも一致するわけではないそうです。

奏者が「今日はよかった〜」と満足しても、お客さん的にイマイチだったり、もちろんその逆も。

これはクラシックにかぎったことではなく、音楽にかぎったことでもないはず。

ですが、人によって捉え方が違うところが芸術のおもしろさでもあり、

人によって違うはずなのに、感動を共有できる瞬間があるところが芸術のすばらしさ。

なのかな。よくわからないけど。



とにかく、お客さんにとって、RCOアムステルダムの宝物。

ヤンソンスは、その宝物の魅力を最大限に引き出してくれる、魔法使いのおじいさん。

演奏後は、ほぼ全員がスタンディングオベーションでした。

アムスのでっかい人たちが立ち上がると前が見えないし、みんなやってるし、

ワタシも背伸びしながらスタンディングで拍手を送りました。



それにしても、ここのお客さんはとてもリラックスしていて、たまにマイペース。

でも、RCOへの愛情と、ヤンソンスへの尊敬の念に溢れた人たちだと思いました。



オランダ語わからへ〜ん。

でも、たくさんの広報物をお持ち帰りしました。

「さすがロイヤルのオケは、パンフ類が充実してるね!」と思ったのですが、

このあと聴きに行ったどこのオケも、

楽団員紹介やら、年間プログラムやら、月一発行のマガジンやら、

ほんとに広報物が充実。

そして、デザイン性もすばらしいのです。

なるほどね。

比べちゃダメだとわかっていても、うらやましい限りでした。